雨の日はそばにいて抱きしめて
「恋、愛してる」
どこまでも甘く囁く宙に
「泣き虫だな」
揶揄われながら抱きついた
工房でも号泣して
帰っても泣いて
私の涙腺はどうにかなったようだ
「宙に泣かされてばっかり」
「俺もだ」
「は?どの口がそれを、んっ」
全部言わないうちに
唇を塞がれた
「ん・・・っ、んっ」
角度を変えながら
深くなる口付けは
心ごと溶かすような甘いもので
触れている宙の体温が高いのが
背中と後頭部に回された手からダイレクトに熱として伝わる
「れ、ん」
時折離れては見つめ合い
切なそうに名前を呼ぶ宙
首筋に顔を埋める宙の背中に腕を回した
。
「やべぇ、止まんねぇ」
最後に聞いた宙の声に
出したはずの声は
掠れて消えた
。
「起きられない」
「悪りぃ」
。
「猿?」
「激しく同感」
。
「宙、頭痛い」
「え?」
「もうすぐ雨が降るよ」
「大丈夫だ、俺が側にいる」
fin