みだらなキミと、密室で。

どんどんおかずを口に運ぶ遥琉に、今日は昨日よりも釘付けになる。

……だって。

いやきっとバレないよね。

バクバクとうるさい心臓。

あっ。

遥琉の持つお箸が厚焼きたまごを掴んだ。

「あ、なんか、今日、桜エビ切らしてたみたいで。ただの厚焼きたまごだけど……」

私のその声は完全に無視で、遥琉の口の中にそれが運ばれる。

エビ入りだと何度やってもうまく巻けなくて、最終的にただの厚焼きたまごになっちゃった、なんて口が裂けても言えない。

机の下で、ギュッとこぶしを握る。

「……フッ、嘘つき」

厚焼きたまごを飲み込んだ遥琉が、お箸を持ったままニッと笑った。

「はっ……」

「ちゃんと作ってんじゃん」

「……えっ、なんで」

「バレないとでも思った?すぐわかるから」

どうして。
どうしてだ。

ママの言われた通り作ったんだ。
形だってママも完璧だって言ってくれた。

自分でもママのと見分けがつかないなって思ったし。
それなのになんでこいつにバレるの?!
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