みだらなキミと、密室で。
「すげぇうまいよ。海風の味がした」
「気持ち悪い言い方しないで」
「海風の好きな味だなぁって懐かしんでるだけじゃん。なにやらしいこと考えてるの」
片方の口角だけをあげて、ニッと不敵に笑う遥琉の顔がむかつく。
「意味わかんないから。さっさと食べて早く弁当箱返してくれる?」
いちいち私をからかうような言動にドキッとしましまう自分に一番呆れてしまう。
どう考えても、バカにしてきてるだけなのに。
「ねぇ、明日も作って?」
「やだよ」
「命令なんだけど」
「っ……」
ひどい。
一瞬忘れかけていたことをこんなタイミングで持ち出してくる。
私は今、奴隷の身。
こいつに借金がある立場だ。
だからってやっぱり全部を納得できるかと言われたらそういうわけではない。
でも……。
依茉ちゃんが言ってくれたみたいに、この再会を機に、遥琉が公園に来なかったあの日のこと知れるチャンスかもしれないから。
ここは言いたいことをグッと堪えて。
「一品だけね」
と答えてから、私も依茉ちゃんママお手製の弁当を食べ始めた。