みだらなキミと、密室で。

「ふーんバイトねぇ」

「何?」

「いや何にも」

明らかにさっきと声色が若干変わった。
ちょっと怒ってるみたいな。

いやどう考えても怒るのは私だし遥琉にそんな権利ないんだけどね!

「ていうか、どこ連れて行く気?」

昨日、どんなことを言われるのか色々考えてきたんだ。

今繋がってる女の子の誰かにプレゼントをあげたいから一緒に選んで欲しいとか、

最悪、バカ高い何かをねだられて「これ買ってくれたら全部チャラにしてあげる」って言われるとか。

とにかく、どんなことを言われてもあんまり大きなリアクションにならないように。

だけど、遥琉は私の質問には答えずテクテクとマンションのエントランスを抜けて歩いて行く。

「ねぇ、遥琉、一体どこに──────」

「着いてからのお楽しみ」

遥琉はそう言って、満足げにニッと片方の口角を上げて笑った。
< 110 / 300 >

この作品をシェア

pagetop