みだらなキミと、密室で。
「やっぱり寝てんじゃ……っ、」
「ちゃんと起きてる」
チラッと顔をもう一度確認して、呆れて目を背けようとしたら、遥琉がゆっくりと目を開いてそう言った。
バチッと視線が絡まる。
バスの窓から差し込む太陽の光が、遥琉の綺麗な顔を余計際立たせていて。
思わず声を飲み込んだ。
「……バ、バカじゃないの。わかったからずっと起きててよ」
私のことを全部吸い込みそうな瞳に心臓が途端にうるさくなって慌てて晒す。
「……海風、すぐ目晒す」
「はぁ?当たり前でしょ、静かにしてよ」
「変わったね」
はあん?
「昔は海風の方がしょっちゅう俺のこと見て───」
「変わったのはどっち」
きっと遥琉にとってなんともない些細な一言が、私を傷つける。
遥琉が変わったんだ。
私は何も変わっていない。