みだらなキミと、密室で。
*
「あ〜疲れた〜」
金曜日の夜は、家族連れやカップルのお客さんが多くて特に忙しい。
クタクタだ。
早くお家に帰ってお風呂に浸かりたい。
お腹もペコペコだし。
バイトの時間は平日はだいたい17時から21時。
夏休みみたいな長期の休みがあるとまた調整してもらうけど、この一年、だいたい週4で働いている。
お店が閉まるのは20時。
21時までの1時間は、お店を閉めて掃除や補充の時間。
それが終われば、深緑のエプロンを脱いでロッカーに片してから、タイムカードを切る。
「お疲れ海風ちゃん」
「あっお疲れ様です、伊月さん」
タイムカードを切った瞬間、ひょこっと顔を出したのはこのお店のキッチンで働く早乙女 伊月さん。
22歳の大学生。
ホワイトベージュの髪色をした、いわゆるイケメン風の伊月さん。
従業員の中でも結構人気で、今までに彼目当てに入って来た子も何人かいたほど。