みだらなキミと、密室で。



「あ〜疲れた〜」

金曜日の夜は、家族連れやカップルのお客さんが多くて特に忙しい。

クタクタだ。

早くお家に帰ってお風呂に浸かりたい。
お腹もペコペコだし。

バイトの時間は平日はだいたい17時から21時。
夏休みみたいな長期の休みがあるとまた調整してもらうけど、この一年、だいたい週4で働いている。

お店が閉まるのは20時。
21時までの1時間は、お店を閉めて掃除や補充の時間。

それが終われば、深緑のエプロンを脱いでロッカーに片してから、タイムカードを切る。

「お疲れ海風ちゃん」

「あっお疲れ様です、伊月(いつき)さん」

タイムカードを切った瞬間、ひょこっと顔を出したのはこのお店のキッチンで働く早乙女 伊月(さおとめ いつき)さん。

22歳の大学生。
ホワイトベージュの髪色をした、いわゆるイケメン風の伊月さん。

従業員の中でも結構人気で、今までに彼目当てに入って来た子も何人かいたほど。
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