みだらなキミと、密室で。

「聞いてよ、海風ちゃん」

ロッカーのある更衣室のドアの縁に身体を預けながら、伊月さんが話し出す。

「なんですか?」

「この間、合コンでゲットした可愛い子がいたんだけどね」

「あ、はあ……」

普段は優しくて仕事ができて頼れるバイトの先輩って感じだけれど、プライベートとなるとちょっと違って。

女の子大好きな完全なチャラ男なのだ。

仕事の時の伊月さんは好きだけど、この手の話をしだす彼は少し苦手だ。

まぁ、私には変にちょっかい出してこないからいいんだけど。

バイト始めてまだ数週間の時一度デートに誘われたけど、キッパリ断ったのでそれからはそういう声はかからない。

伊月さんのことだからそういうのは女の子への挨拶みたいなもんなんだと思うけど。
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