みだらなキミと、密室で。
少しでも接点があるなんて思われたくない。
学校意外でもこやつの名前を見る日が来るなんて。
ただでさえ疲れている身体がさらに重くなる。
「だよね〜。海風ちゃん、男に興味ないもんね。海風ちゃんに聞いた俺が悪かったよ」
伊月さんはそう言って、目線をスマホ画面に移すと、『有馬 遥琉』のつぶやきを漁りながらぶつぶつと不満を漏らし続ける。
もう赤の他人。
有馬 遥琉がどこで何をしようが私は知らない。
「じゃあ、お先に失礼します。お疲れさまでした〜」
私はその場から逃げるように伊月さんにそう声をかけてから、帰り道を急いだ。
本当はよく知っている。
生まれた日と病院が同じ。
住んでいるマンションも同じ。
昔は、彼のことを一番よく知っているのは、自分だと思っていた。
でも、今は違う。
話さなくなってかれこれ7年。
彼のことが全くわからない。
まるで別人なんだ。