みだらなキミと、密室で。
「放課後時間ある?」
「えっ、なんで……」
「話したいから。それともこうやって話しかけるのもうダメ?」
「っ……だめ、じゃ、ないけど……」
今日はお店の定休日。幸いにもバイトはない。
まさか、遥琉のほうから話しかけてくれるとは思わなかったからあからさまに戸惑ってしまう。
話ってなんなんだろうか。
「遥琉いると目立つんだからメッセージでもよかったのに」
「それだと海風が無視するかと思って」
「いや、無視なんて……」
「あんたことしたから怒ったかと」
『あんなこと』
多分、昨日のキスのことを言っている。
正面にいる依茉ちゃんも、なんとなく察して、さらに口元を手で押さえて目を見開いた。
「別に怒ってないから。放課後ね、わかったよわかったから、もう教室行ってよ」
そう言って遥琉の腕を押して追い返すようにすれば、遥琉は「じゃ、後で」と言って教室を後にした。
遥琉といると目立ってしょうがない。
小学生の頃の嫌な思い出が蘇る。
遥琉の隣を歩くことをいつか許されるのならマシになるのかもしれないけど、
そんな日が来るなんて保証はどこにもないし。
っていうか、話ってなによ。