みだらなキミと、密室で。
思い出したくないのに。
もう思い出さないと決めたのに。
もともと可愛らしい顔つきではあったけど、成長するにつれて、端正な顔立ちになっていった遥琉は、女の子から注目されるようになって。
学校で遥琉の名前が黄色い声と共にあちこちから聞こえてくるのは日常茶飯事だけれど、
まさか、こうやってバイト先でも名前を聞く日が来るとは思っても見なかった。
学校でもマンションのエントランスでも、いつも違う女の子と親密そうに歩いているのは見かけるけど、まさか、大学生とか年上にまで手を出しているとは。
けだものかよ。
伊月さんが前に『年頃の男の子の性欲って無限だから』とか仕事中にもかかわらず下品なこと言ってたけど、
にしても酷すぎると思う。
いや、もうほんとどうでもいいんだけど。
私と遥琉は赤の他人。
住む世界がものすごく変わってしまったんだ。