みだらなキミと、密室で。
険悪なダブルデート
『俺と海風ちゃん、有馬遥琉と、もう一人女の子連れてくるからさ。その4人でダブルデートしようよ』
『そしたらこの写真消してあげるからさ。もし断れば、これ、有馬遥琉のDMに送りつけるから』
そんな風に脅されるなんて思っても見なかった。
ダブルデートってなにさ。
伊月さん、なにが目的なんだ。
単純に、鼻につく遥琉のことを私が好きなことが気に食わないだけなんだろうけど、ここまでする?
暇なのかな、伊月さん。
今、遥琉とはなんだか話せる雰囲気じゃないからそれを彼に伝えることも気が引けるし。
んー。
「か……」
いったいどうすれば。
「……海風!」
「はいっ!」
パチンとなるような声に名前を呼ばれてハッとする。
依茉ちゃんが心配そうにこちらを見ていた。
「ごめん……ぼーっとしてた」
「うん。さっきからずっとエビフライ持ったまま動かないから」
「へへ、」
苦笑いしながら持っていたお箸を置いてため息をつく。