みだらなキミと、密室で。
声のした方に顔を向ければ、伊月さんがブンブンと手を振りながらこちらに向かって歩いていた。
その横には、長い髪をゆるく巻いている女の子。
顔はまだはっきりと見えないけど……。
って、あれ……。あれって……。
どんどん近づいてくるふたりを凝視する。
特に伊月さんの隣にいる女の子に。
まって。
嘘でしょ。
「早いね〜ふたりとも」
「……乃々歌ちゃん?」
思わず伊月さんの声を遮って、女の子に向かって声をかけていた。
あの頃と違って化粧をしてて華やかさがさらに増しているし。
髪型も当時のミディアヘアとは違ってロングになっているから最初は誰だかわからなかったけど。
どう見ても、中1の頃同じグループにいた松本 乃々歌ちゃんだ。
「久しぶり、海風っ」
見た目はだいぶ大人しめになっているけれど、少し気の強そうな笑い方は変わっていない。
正真正銘、乃々歌ちゃん。
あの頃のクラスメイト、そして───。
「久しぶり、遥琉くん」
「あぁ、久しぶり……松本」
遥琉の元カノであり初カノだ。