みだらなキミと、密室で。

「海風ちゃん」

「へっ……」

突然、名前を呼ばれて振り向けば、なにか吹っ切れたみたいな清々しい表情をした伊月さんがこちらを見ていた。

『それでは出発まで!!』

スタッフさんの声がものすごく遠くに感じて。

「俺、好きなんだと思う、海風ちゃんのこと」

「はっ、」

『…5!!4!!』

「だから、あいつとは付き合って欲しくないなって」

「……えっ、」

『……1!!ゴー!!!』

「……っ、」

スタッフさんの合図と共に、ジェットコースターが勢いよく前進しだした。

「わー!まじジェットコースターとか久々〜!」

隣の伊月さんは無邪気に楽しそうにはしゃいでいる。

本当に大学生か?と思うぐらい。

っていうか、さっき、この人なんて言ってたっけ?

ジェットコースターの勢いで危うく忘れそうになったけど。

伊月さん、私のこと……。
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