みだらなキミと、密室で。



「無理……気分悪い……」

ジェットコースターを乗り終える、伊月さんが顔を真っ青にしながらそう言った。

「えーー。乗ろうって散々はしゃいでたの伊月さんじゃないですか。苦手なら最初から……」

「いや高校の修学旅行までは普通に大丈夫だったし」

「歳ですか」

「泣くよ」

伊月さんはそう言いながら近くのベンチに腰掛けた。

「帰ります?」

「バカ言わないで」

「だってそんなんじゃ次とか無理……」

ガシッ

いきなり、伊月さんが私の手首を捕まえた。

うっ、今回はこの手にのらないぞ。

この間もこれであんなことされたし。

私だって学習してるんだから。

「伊月さん、離し……」

「膝枕して」

「はぁい?!」

思ってもなかった言葉が飛んできて、びっくりして大きな声が出てしまう。
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