みだらなキミと、密室で。

『いや……その、』

『キスしてくれない理由もちゃんと分かってる。本当は私のこと、好きじゃないんでしょ?』

『1ヶ月も付き合ってるのに、指一本触れてくれないもん』なんて口を尖らせた松本になんて言っていいのかわからなくて。

『でも大丈夫。私、遥琉くんの味方だから』

そうやって、俺の身体に触れてきた松本は言ったんだ。

『……いいよ。私のこと海風だと思って、キスしてよ』

ありえない。
できるわけない、そんなこと。

初めは抵抗していたはずなのに。

『絶対、誰にも言わないから』

まるで「怖がらないで、守るから」そんな風に言われてるみたいで。

俺だって、そういうことまったく考えないわけじゃない。

てかむしろ、海風に触れられないことが余計に俺の欲を刺激して煽っていた。

海風を傷つけるくらいなら、マシかも。

なんて浅はかな考えがよぎって。

松本がそう言ってるからいいじゃん、俺だって溜まってるんだから。

あまり男子と話さない海風が、少しでも話しているのを見ると無性に気にして。

海風がクラスメイトと楽しそうに笑ってるのを見ると、その笑顔を俺に向けて欲しいと何度だって思って。
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