みだらなキミと、密室で。
自分で手放したくせに。
自信を持って守れる勇気がないから。
影から支えてやるなんて。
出来もしないくせに。
いつだって中途半端で。
結局、海風だけじゃなくていろんな人を傷つけることになって。
ゆっくりと松本の顔が近づいてきて、お互いの吐息がかかって、
『……遥琉くん』
松本のそんな声を
『遥琉』
海風の声に置き換えて。
優しく唇が触れた瞬間、俺の引いてた線が、ブチッと切れて。
海風に触れたい、
海風の声が聞きたい、
俺の名前を呼んで、俺のことを考えて欲しい。
汚い妄想ばかりで頭いっぱいにして、俺は好きではない女の子に触れて。
気が付けば、もう『彼女』なんて特定の子を作ること自体もやめて、
求められればそれに応えるようになっていた。