みだらなキミと、密室で。

キスしたところを見られたのに、まるで平然としていた彼に、またイラッとする。

なんだあの態度。

別人のようになってしまった彼の背中を見つめる。

可愛くない。

ほんと可愛くない。

いやまじであいつを昔のあの子と思うのはもうやめよう。多分ある日を境に別人にすり替えられたんだきっと。

小学4年生までは本当に、本物の兄妹かってぐらいに一緒にいた。

学校でも家に帰ってもずっと一緒。

隣の公園で日が暮れるまで2人でしょっちゅう遊んでいた。

あぁ、やだな。

思い出さなくていいことをまた思い出してしまった。

すぐにエレベーターに乗り込んで、5階のボタンを押す。

あ。

そういえば、今日は朝からそうだった。

懐かしい夢を見たんだ。

まだ可愛かった頃の遥琉の声が私のことを呼んでて。

だからだ。やけに色々と思い出してしまう。

『海風ちゃん、いじわる!ハルちゃんが遥琉くんのこと好きなの知ってるのに何でイチャイチャするの?』

ダメだダメだ。

思い出しちゃ。

もうずっと過去の話なんだから。
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