みだらなキミと、密室で。

「興味本位だったのに。さっきは一途に頑張るつもりなんて言ったけど、海風ちゃんの悲しそうな顔は見たくないって思ってる自分もいる。あれから仕事中もしょっちゅう海風ちゃんのこと目で追っちゃうしさー。チャラ男なのにどうしちゃったんだろ俺」

「知らないですけど……」

俺が海風を一番好きだってことは誰にも譲りたくない。

でも、海風の、あんまり感情を表に出さないようにみえて、ふと盛大に笑う瞬間とか、男心くすぐるギャップみたいなのを持っているやつだと思う。

正直、中学の頃から、海風を気になっているって男の話を聞いたこともあるし。

海風の魅力なんて、俺だけ知ってればいいことなのに。

「今日だって本当は、遥琉くんと乃々歌ちゃんが一緒にいるのを見せつければ、海風ちゃんも俺に少しはなびくかなって思ってたんだけどねーー」

「思ったより手強い」と笑う早乙女さん。

「俺も卑怯なことするのやめて真正面から向き合うから、遥琉くんも中途半端なのやめてくれる?」

「戦いずれぇから」と付け足す。
< 213 / 300 >

この作品をシェア

pagetop