みだらなキミと、密室で。
この人にはもう、とっくに俺の気持ちなんてバレているんだろう。
一番通じて欲しい人には通じないのに。
「遥琉くんが海風ちゃんとの何が壊れるのを恐れているのか知らないけど、壊さないと見えない世界なんて腐るほどあるでしょ」
「……っ、」
ほんとわけわかんない人だ。
俺に海風を諦めて欲しいのか、手に入れて欲しいのか。
「俺は、海風ちゃんに笑って欲しい、それだけだよ」
「……そうですか、」
チャラいくせに。
いろんな女の子を抱いてきたくせに。
なんで欲のないそんな綺麗事が言えるんだ。
こいつ本当に海風のこと好きなのかよ。
ただ笑ってほしいって、それに笑ってしまう。
そんなわけあるかよ。
少なくとも俺は違う。
俺のことだけを見てほしい、誰のものにもならないでほしい、
もっと触れたい、俺にも触れたいって思ってほしい、
誰にも邪魔されたくない。
俺を好きになってほしい。
そんなわがままで欲まみれの感情でいっぱいだわ。
こんなに我慢してたらそうなって当然、と思う。
この人に俺の気持ちなんてわからないし、海風との時間だって想像できないに決まってる。