みだらなキミと、密室で。

海風 side


遥琉と伊月さんと分かれて、私と乃々歌ちゃんはなんだかんだアトラクションを楽しんだ。

最初ふたりきりになった瞬間はなんとなく気まずい空気みたいなのが流れていたけれど、

中学の時の友達が今どうしてるか、とかそういう話で盛り上がって。

あの時こうだったよね、あの人はこうだったよねとか。

同じ思い出話に花が咲くのは結構たのしくて。

アトラクションにほんの少し疲れて、休憩がてら園内のお土産やグッズの売ってるショップ内を回ったりして。

「あっ」

その中で見つけたのは、この間、私が遥琉に返してもらったウサギのヘアピンに似たようなアクセサリーが並んだコーナー。

そういえば、遥琉とも、ここではなかったけど、よくパパたちと一緒に遊園地に来たよなぁってそんなことを思い出して。

あの頃はなにも考えないでひたすら楽しかったのに、今はそうはいかない。

成長するって、大人になるって、変わってしまうって、ちょっと寂しい。
< 216 / 300 >

この作品をシェア

pagetop