みだらなキミと、密室で。
遥琉の目線の先は、マンションの隣にある公園。
私たちが子供の頃いつも一緒に遊んでいた場所。
「うん。いいけど……」
そう答えれば、遥琉が公園へと入って行き私もその背中についていく。
あの頃に比べてさらに錆び付いて見えるブランコ、所々ペンキの剥がれたすべり台やジャングルジム。
数年の間に色を変えたそれらを見て、まるで私たちみたいだと思った。
普段は子供たちの声ですごく賑やかだけれど、
今は午後5時を知らせるチャイムがとっくに鳴り終わっていて、公園に子供たちの姿はない。
私と遥琉、完全にふたりきり。
「……懐かしいね」
ふと声が漏れた。
遥琉があの日ここにこなくなってから、私もこの公園に足を踏み入れることはなくなってしまったから。
チラッと横目で見て通り過ぎるだけになっていた。
遥琉は今、この公園を見て、何を考えているんだろう。
そう思った直後、
「俺は、懐かしいって思ったこと、一度もない」
黙って公園を眺めていた遥琉がそう言った。