みだらなキミと、密室で。
どうして遥琉はそうやって、傷口をえぐるような言い方をするんだろう。
近いと思ったら次の瞬間にはすぐ遠くにいっちゃうみたいな。
なかなかうまくつかめない。
宙に舞ったタンポポの綿毛みたい。
「……あ、そう」
どうしてこいつなんだろう。
自分でも何度もそう思うよ。
「海風との約束を守れなかった俺に、ここでの時間を懐かしむ資格なんてないから」
「え……」
夕日が沈みかけている。
わずかにオレンジの空が、遥琉を照らしていて、その横顔はあまりにも綺麗で切なくて。
喉の奥が痛くなって、泣きそうになる感覚に襲われる。
やっぱり好きだと、何度でも思ってしまうから。
ねぇ、遥琉。
どうして、私の前から消えちゃったの。