みだらなキミと、密室で。
こちらを見ずにテクテクと遊具に近づいていく遥琉は、ある場所に立ち止まった。
この公園のど真ん中にあるゾウの形をしたすべり台。
そのゾウの足のちょうど間にあるトンネルのようなスペース。
トンネルの中は3歳ぐらいの子供がかろうじて立って歩けるほどの高さで、
私たちぐらいの背丈になると屈まないと中に入れないようなトンネル。
ここはこの公園の中でも一番、私の思い出の場所だ。
女の子たちの目を気にしてコソコソと遥琉に会うようになってからは、よくこの中で遥琉を待った。
秘密基地のような。
この中に入れば、この世界には私と遥琉だけしかいないみたいな不思議な気分になれたっけ。
約7年ぶりのその場所に。
遥琉が身体を屈めて入っていった。
「え、ちょ、遥琉?」
慌てて私もしゃがみ込んでそこに視線を向ける。
「海風もおいで」
「えっ、ちょっ……」
なんだなんだ、今何が起こってるんだ。
そんなことを考える間もないまま、遥琉の大きな手に手を取られて。
吸い込まれるように私もその中へと入っていく。