みだらなキミと、密室で。

ある日───。

『ママがね、結婚なんてするもんじゃない、だってさー。男なんて絶対いつかは裏切る生きものだからって』

『……そっか。でも、俺は海風を裏切ったりしないよ』

『フフッ。うん、知ってる。遥琉はずっと私の最高の友達だもんね!遥琉はうちのパパとは違う!約束ね?』

『……うんっ、約束!』

“最高の友達”

その瞬間、心臓にチクッとなにかが刺さったような感覚に初めて襲われた。

───

『キ、ス?』

『うん。ヒロキがな〜昨日見たんだって、兄貴と彼女が部屋でしてるの!』

『うわ、まじかよ〜!オエ〜』

クラスの連中がそんな話をするようになって。

表面上は、みんな気持ち悪いなんて騒ぐけど、なんだかんだ気になってるに決まっていて、

少なくとも俺は、海風とならそういうことしたいって思っていた。

だけど、

“最高の友達”



そんなことしないって、わかっていたから。

海風との約束を破ることなんて、俺はしない。

子供ながらにそう決めていた。

そんな時───。
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