みだらなキミと、密室で。
海風が誰かのものになるなんて、今まで俺がいた場所に、違う誰かが入ってくるなんて、
考えただけで恐ろしかった。
誰にもあげたくない。
そんな気持ちでいっぱいになった。
俺は泣き虫で臆病だから、海風がいつか、俺よりうんとなんでもできてかっこいい人に取られてしまうんじゃないかって、
ものすごく怖くて。
その日の放課後、俺を手紙で呼び出した女子からの告白を丁重にお断りして、
走って走って、公園へと向かった。
すぐに海風に会いたかった。
どこにもいかないで、ずっと俺のそばにいて。
そんな気持ちだった。
『海風!』
息を切らして公園につけばすぐに彼女の名前を呼んで。
いつもなら名前を呼ばれたらすぐトンネルからひょっこり顔をだす彼女が、その日は出てこなくて。