みだらなキミと、密室で。



「えっと……それじゃあ、遥琉は……、」

話をすべて聞き終えた海風は、顔を赤らめながら口を開く。

その表情でさえも、俺をおかしくしそうになって、必死になって平常心を保つ。

「私にその、キ、キ、キスしてその罪悪感から会わなくなったってこと?」

「……すげぇざっくりいうと、そんな感じ」

俺がそういえば、海風はさらにカァッと顔を赤くさせて。

煽ってんのか、と言いたくなるのを堪える。

「嘘でしょ……」

そう言って両手で顔を覆う海風。

いや、そんなにショックかよ。

『最悪』とか『最低』とか言われる準備はもうできている。

「いや、わかってる、本当にごめん、」

何回だって謝るから、だから、これ以上嫌いにならないで。

ここ数日のことも全部。

下手くそでごめん、バカでごめん。

相手が海風になるとそれがすごく難しいんだ。

大切すぎて、うんと優しく持とうとすればするほど、スルリと手から滑り落ちていくみたいな。

「……その、押さえ、られなくて、」

クッソだせえ、クッソはずい。

顔が熱い。

こんなこと、本人目の前に言う日がくるなんて。

でも、事実だから。
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