みだらなキミと、密室で。

「……ごめん」

さらに謝れば、海風が顔から手を離した。

バチっと視線が絡まる。

「なんで謝るの。そんなに……遥琉は、その時のこと、なかったことにしたいの?」

「えっ……」

思ってもなかった海風のセリフに、顔をあげる。

「後悔、してるの?」

「……っ、」

そりゃ、後悔している。
悔しい。

自分の気持ちに勝てなかったから。

海風をそばで守るって約束したのに、それができなかったから。

でも……。

「なかったことにはしたくないよ、」

「だったら……」

そう呟いた海風が突然、体勢を変えた。

「……っ」

腰を軽く上げて、こちらに距離を詰めてくる。

あの頃の記憶が、さらに鮮明に、今と重なって。

「……うみ、か」

「もう一回、してよ、」

顔も耳も赤く染めながら、今にも泣き出しそうな顔で声を震わせた海風を見て、

俺はようやく、気付いた。
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