みだらなキミと、密室で。
裏切った俺に唯一できることは、海風の平和な学校生活を守ることだと思ってた。
知らない人のフリをして。
俺の面倒に海風を巻き込まないでいること。
女の子たちに仲間外れにされて悲しそうにしているのを知っていたから。
せめて、もう海風にはあんな思いをさせたくないと思った。
それが海風を裏切った俺が唯一できる償いだと思っていた。
完璧にできているつもりだったけど、いつだって海風のことばかり意識してて。
ずっと海風だけに注目して欲しくて。
勉強も運動も、目立つため。
少しでも海風の視界に入りたかったから。
あわよくば、昔の俺とちょっと変わった俺のことを、海風が見直してくれて男として好きになってくれればいのに、
他の女の子といるのを見て、ヤキモチを妬いてくれればいいのにって。
自分で海風との時間を壊しておいて、どこまでもおめでたい頭だと思う。
常に海風とどうにかなりたかった。
妄想でなら、いくらでも都合よく、海風とまた一緒になれることばかり考えられて。
松本に言われたように、俺は俺が思っているよりも、バカだ。