みだらなキミと、密室で。
*
「遥琉、そろそろ授業始まるから行かないと」
屋上につながる人気《ひとけ》のない階段で、遥琉とふたりでお昼休みを過ごしていたけれど、
スマホのロック画面に目をやれば、あと5分でお昼休み時間が終わる時間。
それなのに、遥琉はなかなか私の肩に置いた頭を起こそうとしない。
「んー……もうちょっと」
「そのもうちょっとで授業が始まるんだよ」
「んー……」
昨日は気持ちが高揚して、なんだからしくないことをたくさん言ったりして、
それを今思い出して正直恥ずかしいのに。
遥琉はなんともないみたい。
昨日はあんなに、いやお互いにそうだったけど。なんていうか……興奮状態っていうか。
ダメだ……恥ずかしい。自分であんなことを言ってしまったなんて。
昨日はあれから、ふたりともなんだか放心状態で。
気がつけば、並んで家に帰った。
ご飯もお風呂も、心ここにあらずって感じで。
そして、朝、遥琉が私の家に迎えにきて。
「今日海風、バイトでしょ」
「うん、」
「……だよねー」
昨日からずっとドキドキしていて大変だ。
正確には昔から遥琉を見かけたらドキッとしていたけれど。
やっぱり、女の子にある程度免疫のある遥琉は、私とこういう関係になっても、
そこまで過剰に反応しないのかな。
昨日はあんなに壊れ物を扱うみたいに優しく触れてきたのに、
今日は平然と私の肩を借りているんだもん。