みだらなキミと、密室で。



「海風ちゃんお疲れ〜先に上がるね」

「あ、うん、マリナちゃんお疲れ様〜!」

バイト終わり。

同じホールのマリナちゃんに手を振ってロッカーで着替えていると、ポケットに入れていたスマホが震えた。

すぐにスマホを取り出して画面を見れば、メッセージが1件来ていた。

【遥琉】
という表示に胸が鳴る。

『終わったら連絡して。声聞きたい』

“声聞きたい”

好きな人にそれを言われることが、こんなにも嬉しいことなんだな。

『今終わったよ。お店でたら連絡する』

そう言えば、ネコがグッドのポーズをしてるスタンプがすぐに送られてきて。

私はロッカー室を急いで出た。

ガチャ───。

「あ、お疲れ、海風ちゃん。昨日どうだった?」

伊月さんの声。

「はっ、」

厄介な人に捕まった。


なんだってこの人はいつもこうタイミングが悪いんだろうか。

でも、なんだかんだ伊月さんのおかげで昨日話す機会ができたわけだから、

蔑ろにすることもできないんだけど。
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