みだらなキミと、密室で。
*
「海風っ」
パパと出かける当日。
マンションのエントランスで迎えを待っていると、パパの車がマンションの前に止まった。
それに気付いてすぐにマンションを出れば、車のガラスを開けたパパが私の名前を呼ぶ。
「パパ!久しぶり!」
「おう。今日行きたいところ決まってる?」
「あーうん!えっと……」
パパの意見も聞きながら、遥琉への誕生日プレゼントを買えたらな、と思っていた。
けど。
「はじめまして、海風ちゃん」
車の後部座席のガラスがあいたかと思えば、見知らぬ女の人が顔を出して私の名前を呼んだ。
……え。
誰?
真っ黒な艶のあるストレートの髪に、優しそうなメイク。
一瞬で、綺麗な人だな、とな思った。
誰か、なんて、言われなくても予想できる。
パパの───新しい奥さん。