みだらなキミと、密室で。



「海風っ」

パパと出かける当日。

マンションのエントランスで迎えを待っていると、パパの車がマンションの前に止まった。

それに気付いてすぐにマンションを出れば、車のガラスを開けたパパが私の名前を呼ぶ。

「パパ!久しぶり!」

「おう。今日行きたいところ決まってる?」

「あーうん!えっと……」

パパの意見も聞きながら、遥琉への誕生日プレゼントを買えたらな、と思っていた。

けど。

「はじめまして、海風ちゃん」

車の後部座席のガラスがあいたかと思えば、見知らぬ女の人が顔を出して私の名前を呼んだ。

……え。

誰?

真っ黒な艶のあるストレートの髪に、優しそうなメイク。

一瞬で、綺麗な人だな、とな思った。

誰か、なんて、言われなくても予想できる。

パパの───新しい奥さん。
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