みだらなキミと、密室で。
「私も高校生のころ飲食店でアルバイトしてたんだけどね〜大変なことない?変なお客さんも来るじゃない。海風ちゃんのところは大丈夫?」
「えっ、あー……まぁ。大変なこともありますけど」
「そうよねー!私が働いてたところなんかね───」
なんだろう。
向こうも気を使ってくれてるのかな。
家のこと、なにも聞いてこない。
パパの話もしない。
バイトでの経験や愚痴をお互いに始めれば、
奈央さんのエピソードに共感できるものばかりで、気がつけば、私も色々と話していて。
話していて気持ちいい反応を奈央さんはしてくれるからつい話過ぎてしまう。
『すっごいわかる!』『それでそれで?』
話をして嫌な思いをさせない人だなって思った。
最初の印象に比べたら、話しやすいってだけだけど。
この人が私たちの家族を壊したのは変わらない。
それから、学生のころバイトしていたパパも話に加わって、だんだんと、3人で接客業あるある話でなんだかんだ盛り上がった。
意識していなくても、自然と吹き出したりして。