みだらなキミと、密室で。
いけない。
楽しいことを考えなくちゃ。
依茉ちゃんと話してる時や好きなことをしてる時間は、余計なことを考えなくて済むけれど、
ふとひとりになったり、記憶の片隅に残る思い出を刺激する何かがあるとダメだ。
あぁ、ダメだダメだ。
考えない考えない。
気持ちを紛らわそうとスマホにイヤホンをさして最近流行ってる邦楽を聴きながら、早歩きで進めば、マンションにはあっという間に着いた。
いつものように、オートロックの操作盤に鍵をさして自動ドアが開けば、先に見えるエレベーターのボタンを押して。
エレベーターが開くまで、ママと店長にサッと、家に無事に着いたことをメッセージで送ると、タイミング良くエレベーターが降りてきて。
すぐに乗って【閉】のボタン押そうとした瞬間だった。
「乗ります」
っ?!
聞き覚えのある声がしたかと思えば、すぐに誰かがエレベーターに乗り込んだ。