みだらなキミと、密室で。
「うぅ〜依茉ちゃん助けっ……」
ドンッ
依茉ちゃんと廊下を歩いていると、突然、肩に強い痛みが走ったので、痛みの原因に目線を向ける。
「遥琉くん!さっきの英語の授業ね、わからないところがあったから教えて欲しいんだ〜」
急いで男の子を追いかけてきたらしい女の子。
「あぁ、うん、どこ?」
「えっとね……ここなんだけど」
なんだあれ。
走ってぶつかって来たんだから謝罪ぐらいないのかね!
骨折れた!絶対折れたよこれ!
男の子の前ですごいおしとやかな雰囲気で話してるけど、怪力じゃねーか。
「うわ、なにあれ。海風、大丈夫?」
「うん、大丈夫。折れた」
「え、折れてんじゃん」
「心の骨が折れました」
「ああ、なるほど。それは大変。今すぐ推しという名の接着剤でくっつけなきゃ!」
「んだ!」
我ながら、ほんと会話がバカだなぁと思う。
自覚症状はある。
でもこういうしょうもない会話が楽しくてたまらなくて。
さっきかすかに一瞬見えてしまった影を見なかったことにして、依茉ちゃんと一緒に廊下をあとにした。