みだらなキミと、密室で。
「まぁ、そんな感じかな」
「……はっ、」
「ええーーー!!遥琉くん可愛い子しか今まで相手にしなかったじゃん!!どうしたの?何、この子に脅されてるの?」
私がツッコもうとした瞬間、間に入って前のめりでそう言い出す女の子。
おいおいおい。
そりゃ、私だって可愛くない自覚はあるけど。
本人目の前にしてそんなはっきりというかな。
しかも、脅されてってなんだよ。
私の方が脅されてんの!被害者なの!
「フッ、こう見えて案外可愛いところあるんだよ」
はんっ?!
『可愛い』そう言われて不覚にもドキッと胸を鳴らせてしまう。
こいつにとってそんなセリフに意味なんてないのに。
女の子になら誰にだっていう。
挨拶みたいなものだ。
「そーいうことだから、昼休みはふたりきりにさせて」
遥琉がグループのみんなにそういうと、さっきまで騒ぎ立てていた女の子は、頬を赤らめて名残惜しそうに別のグループの輪の中へと入っていった。
男の子たちも、ニヤつきながら遥琉の肩を叩いて教室を出て行って。
周りのチラチラとこちらを伺う視線はまだ若干残っているけれど、とりあえず、さっきよりは遥琉と落ち着いて話せる空気になった。