みだらなキミと、密室で。

「まぁ、そんな感じかな」

「……はっ、」

「ええーーー!!遥琉くん可愛い子しか今まで相手にしなかったじゃん!!どうしたの?何、この子に脅されてるの?」

私がツッコもうとした瞬間、間に入って前のめりでそう言い出す女の子。

おいおいおい。
そりゃ、私だって可愛くない自覚はあるけど。

本人目の前にしてそんなはっきりというかな。

しかも、脅されてってなんだよ。

私の方が脅されてんの!被害者なの!

「フッ、こう見えて案外可愛いところあるんだよ」

はんっ?!

『可愛い』そう言われて不覚にもドキッと胸を鳴らせてしまう。

こいつにとってそんなセリフに意味なんてないのに。

女の子になら誰にだっていう。
挨拶みたいなものだ。

「そーいうことだから、昼休みはふたりきりにさせて」

遥琉がグループのみんなにそういうと、さっきまで騒ぎ立てていた女の子は、頬を赤らめて名残惜しそうに別のグループの輪の中へと入っていった。

男の子たちも、ニヤつきながら遥琉の肩を叩いて教室を出て行って。

周りのチラチラとこちらを伺う視線はまだ若干残っているけれど、とりあえず、さっきよりは遥琉と落ち着いて話せる空気になった。
< 90 / 300 >

この作品をシェア

pagetop