みだらなキミと、密室で。
「いただきますっ」
弁当用の私のピンクのお箸を持って、ワクワクした方でそう言って蓋を開ける遥琉。
「……っ、」
わずかに昔の面影が見えて、胸がキュンとする。
ずるいよ、そんな嬉しそうな顔。
いただきますって今もちゃんというんだな。
昔は、遥琉がうちに来て一緒にご飯食べることもしょっちゅうだったっけ。
「うわ、千秋さんいつもこんな綺麗に作んの」
ママの作ったお弁当を見て感心しながら呟く遥琉。
「……うん。パパが出て行って働くようになってあんまり時間ないだろうから、無理して作らなくてもいいよって言ってるんだけどね」
私が高校卒業するまではちゃんと毎日作るってママの中で決めているらしい。
私としては少しでも負担を減らしてあげたいけど。
「いいんじゃない。千秋さんはそれで、親として自信持ててるみたいなんだから」
「えっ……」
「んー桜エビの卵焼きなっつかしい〜。これ運動会の時、絶対千秋さんが作ってきてくれてたよなぁ」
「あぁ、そうだったかな……」
まさか、遥琉の口から運動会の頃の話をされるなんて、不意打ちすぎて反応に困ってしまう。
「千秋さん言ってたから。お弁当詰めながら。自分が母親として海風にできるのはこれぐらいだからって」
「……えっ、」