みだらなキミと、密室で。
「そんなに食べられたくなかったら、海風が作ってきてよ。俺の弁当」
「……」
ん?
「ね?」
はい?
固まった私をよそにニコニコしながら、本来私が食べるはずだったおかずを、敵がどんどん胃袋に流し込んでゆく。
「……バカ言わないで」
「こんな美味しい料理いつも食べてるんだからさ」
「いや無理」
「作ってこなかったら千秋さんに話すからね今回の海風の失態」
はん?!
「それは絶対ダメ!っていうか私バイトもあるしまじ弁当作る時間とかないんだって。鬼か!最低すぎる!」
信じられない。
うちの家が火の車だってことは遥琉だって知ってるはずなのに。
「なんとでもいいな」
「なんでこんなこと……」
「さぁ。海風の困った顔が恋しいのかもね」
「は、はぁー??」
バチッと視線が絡んですぐに目をそらす。
「フフッ、冗談」
「ああほんっともう!食べたよね?もういいよね?私いくから!」
あっという間に空っぽになった弁当箱を手に取って。
私は席から立ち上がり早口で捲し立てるようにして片付ける。
なんなのよ本当に!
「明日から弁当、よろしく」
「うっさい!」
遥琉の食べる予定だったパンを袋ごと奪って、私は遥琉の教室を後にした。