みだらなキミと、密室で。

なんなのよあれ……。

『海風の困った顔が恋しいのかも』

あのセリフが耳に響いて離れない。

深い意味はない。
私をおちょくるためにああいうことを言ったんだ。

わかってる。
わかってるのに……。

「で、弁当作ることになっちゃったと」

「そういうことです……」

遥琉の教室から自分の教室に帰れば、ちょうど席に座った依茉ちゃんがいたので、さっそく、やつからされた意味不明な命令のことを伝えた。

「えぇ〜何それ。有馬くんは、海風がバイトで忙しいこと知らないの?」

「いや、一応知ってる」

「うわぁ、それで弁当作ってこいなんていうのか」

依茉ちゃんが「それはひどいわ」と付け足した。

「ん〜こんなのどんどんエスカレートされたら困るし、やっぱり、分割にしてでもちゃんと弁償したほうがいいのかな……はぁ」

最初は、12万円なんて数字を突然ボンと出されてパニックになって、遥琉の言いなりになることを選んだけれど、

よく考えれば、少ない金額からでも確実にしっかり弁償すればいいだけでは?
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