みだらなキミと、密室で。

「いやでも本来は、海風のことからかってキスしてきた有馬くんが悪いわけじゃない?私は弁償しなくてもいい気がするけど」

「んー……でも、それだと一生こき使われそうだよ」

「そうだけど。でももし弁償しちゃったら有馬くんと海風を繋ぐものがなくなっちゃうよ?海風はもう本当に有馬くんと関わりたくないの?」

「えっ……そりゃあ」

『関わりたくない』
そうはっきりと答えられない自分がいる。

依茉ちゃんには特に少しも濁した返事をしたくないから。

ほっといてほしいとか関わらないでと口では言うし、思うのも事実だけれど。

あの頃の淡い思い出とか、ふと見える遥琉の変わっていないところとかそういうことにいちいち胸を鳴らせてしまっている自分がいるのも本当で。

でもだからって、どうせ暇つぶしにしか私を利用していない遥琉のために、バイトで疲れてる身体にムチ打ってお弁当作るのも気が引けるし。
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