みだらなキミと、密室で。



「これ、本当に海風が作ったの?」

翌日。
昨日と同じく、遥琉の席の前に腰掛ければ、受け取った弁当を開けてすぐに遥琉がそう言った。

黙って食えばいいものを。

「まぁ、ちょっとだけママに、手伝ってもらったけど……」

「へ〜海風が作ったのどれ?」

「んーと……ご飯に、ふりかけかけました」

「あとは?」

切れ長のアーモンドアイが見えなくなるぐらい目を細めた遥琉が口角を上げながらこちらを見る。

目の奥が明らかに笑ってなくて、背筋が一瞬ゾクッとする。

「……ねぇ、言われた通りお弁当持ってきたんだからさ、文句言わないで食べてよね」

「俺は海風が作った弁当がいいって言ったんだけど」

「だから……」

「ふりかけかけるだけが海風にとっての料理なの?」

こいつ……ほんとに。

「あのね、私、遥琉みたいに暇じゃないんだ!しょーがないでしょ!仕上げのふりかけはやったんだからいいじゃん!」

腹立つー!

「食べたくなきゃいいわよ食べないでっ」

そう言って弁当を奪い取ろうとしたら、遥琉が私の前に置かれたもう一つの弁当に気付いて口を開いた。
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