140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
序:

昭和19年4月、日本のほぼ真南にあるニューギニアという島は、戦場だった。

そこであたしが見たのは、大好きな、泣ける戦争映画の「戦って散る美しさ」なんかじゃなくって、泥にまみれてただ森の中を歩くだけの……

それは…………

死の行進としか表しようがないものだった。



歩いてるだけなのに、仲間がどんどん死んでいった。


ある人は、お腹を壊しただけで死んだ。

またある人は、マラリアで。

そしてまたある人は増水した河の濁流に飲まれた。

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