140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
「おいしい」
「そうか?なら良かった。俺はあまり好かんがな。日が暮れて敵機がいなくなったら飯を炊いてやるからな」
「お米、あるの?お米ってすごい貴重なんじゃないの?」
「そりゃ、本土の話じゃないか?」
「そうなの?」
「俺がいた頃は配給といったってまだ普通に食ってたけど、後から来た奴の話じゃあ白い米を見るのは久方ぶりと言ってたからな」
「へえ」
「まあ、ここでも貴重には変わりないがな。他の食糧と合わせたって、せいぜい10日分くらいだからなぁ」
「そっかぁ」
なんとなく、お米って着物を売って闇で買うくらい貴重なイメージなのに。
同じ終戦前でも、本土よりこっちのほうが食べ物が豊富ってことなのかな。
食糧10日分ってことは、それくらいで別の基地に着く予定なんだな。
そんなことを思った。