140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
3 ふたりきりの夜
日が暮れて、足元はもうほとんど見えない。
昼間はあんなに暑かったけど、だんだんひんやりとしてきた。
鳥も敵機も飛ばない静かな空のかわりに、今度は地面が騒がしくなっている。
たぶん、鈴虫みたいな虫とか、カエル。
鳴き声に涼しさ、この感じ、前にも思ったけどやっぱり地元と似ている。
夏になると「熱帯夜、熱帯夜」と繰り返すテレビに違和感しかなかった。
テレビ局がある東京は、夜も暑いらしい。
だけどうちのあたりは、夜になれば寒いくらいの日だってある。
真夏に毛布を被って寝ることがあるのを、東京から来た先生が寒くて驚いたと言っていたのを思い出した。
ここは、その感じと似ている。