140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「なんだかんだで暗くなるまでよく歩いたな」

「あ、うん、でももう無理…寒いし」

「仕方ない、今夜はここで休もう」

「ん…」


昇さんが荷を解いて地面に固い布を敷いた。


「天幕を張るから、少し手伝ってくれるか」

「うん?」


返事はしたものの、天幕が何のことかわからなかった。

だけど手慣れた様子で杭を打っていく昇さんを見て、テントのことだとわかった。

いまさっき敷いた布がそれだ。

布は半分に折ってあり、その上側だけを持ち上げて屋根にした。

細長くてトンネルみたいだ。

天幕をピンと張ると、何もなかった空間が一気に人間らしい居場所になった。
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