140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
お腹が膨れて気分がいいのか、さっきまでよりも更に機嫌よさげに昇さんが笑う。
あたしは昼間言われて謎だった適正後がなんのことかわかって、すごくスッキリした。
テキセイ語のテキは、敵味方の敵。
つまり、敵国の言葉という意味だ。
そういえば戦争映画でたまに外来語規制してるの、みたことある…。
「でも、昇さんは普通に乾パンとか言うよね」
「敵性語と言ったってもう浸透してるからなぁ。軍じゃいちいち日本語に直されちゃ仕事にならんよ」
「そっかぁ。あ、カメラもだね」
「ああ、あれは形見なんだよ」
「え…」
そう言ってカメラをカバンから取り出すと、昇さんはそれを思い出深そうに手で抱えながら膝に乗せて話しはじめた。