140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

その人の顔にはおびただしい数の虫が張り付いていて、くぼんだ目や、半開きの口の中へも虫が出入りしていた。

死んでる!

そう思ったけど、かすかにお腹が動いた。


「昇さん!生きてる!この人、生きてるよ!どうしよう、こんなに虫付いちゃって、助けなきゃ…」

「よせ」

「だって…っ」

「もう死んでる」

「嘘!生きてるよ!今お腹動いたもん、息、してるんだよ!」

「腐ってガスが溜まってるだけだ。それにもし生きてたところで、薬もない。何もしてやれることなんかないんだ」

「そんな…酷いよ、昇さん」

「…なんとでも言え。お前の時代じゃない」

「あ…」
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