140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

何もしようとしない昇さんに、つい、言ってしまった。

だけど気持ちの持って行き場がなくて、あたしは素直に謝ることもできなかった。

戦争中なのはわかってるけど、あたしだって好きでこんなとこに来たんじゃない。

なんでも揃って医療も充実してる時代に生まれたのだって、あたしが選んで生まれたわけじゃない。

全部、偶然。

だから、昇さんに「お前の時代じゃない」なんて嫌味っぽく言われたことにも、少し、腹が立った。


そんなあたしをよそに、昇さんはその軍人さんに長いこと手を合わせてたけど、それが済んだらその軍人さんの靴を脱がし始めた。

昇さんが触れたことで、軍人さんの体がかすかに揺れた。

その瞬間。


「あっ…嘘…っ」
< 167 / 481 >

この作品をシェア

pagetop