140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

木の枝にメッセージが書かれた紙が刺さっている。

『山路ゲニム向カウ 至急追及セヨ』


「追及って?ゲニムって?」

「追及は追いつけよってことさ。ゲニムは転進中の部隊が一度そこで集合することになってるんだ。その後、更に西へと進んでサルミというところまで行くのが今回の命令なんだよ」

「遠い…?」

「遠いな。サルミまでは300㎞くらいある」

「ええ!そんなに?えっと、うちのあたりから東京までだいたい150㎞だから…軽く往復分!?徒歩で!?」

「ははは。だけどサルミに行けば食糧も潤沢に備わっているというぞ」

「食…」

「それにゲニムまでなら2、30㎞だ。頑張れよ」


もう、あんまり食べるものもないんだよね。

あたしが女だってバレないか心配だけど、早く軍の人たちと合流して補給したい…
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