140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「明日の早朝、湖岸で食べられそうなものを探してから出発しよう」

「…うん」

「銃でもあればあの鳥を落とせるかもしれんのにな」

「え…殺しちゃうの?可哀そうだよ」

「ハンバーグも牛を殺して食うんだろ」

「…そう、だけど……」


冗談交じりに、昇さんが言った。

あたしはまだ、自分が暮らしてた生活を基準に考えてるなって、こういうとき思う。

昇さんは、昭和19年だからそうなのか、軍人さんだからなのか、それともこの状況だからなのか、いろんなことにすごくシビアで。

それが生きるためなのは頭では理解してるつもりだけど、どうしても気持ちがついてこない。

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