140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「ぬかるんで沈んだり、急に深くなったりするから、陸の近くだけにするんだぞ」
「うん」

靴や服が泥だらけになるのも構わずに、湖の中に足をすすめる。

もともとこのままの恰好で河にも入ったし、泥だらけだからね。


道具もないので昇さんから借りた飯盒の蓋で水底をさらう。

貝!出てこい、貝!


さらっては湖岸に泥を捨て、手の平で広げて何かないか探るけど、1時間くらいかけて獲れたのは、小さなカニとエビだかザリガニだかよくわからない生き物が合わせて9匹。

とてもふたりでお腹いっぱいって量じゃない。


むしろ、腰を曲げて泥さらいをしたぶんの消費カロリーのほうが深刻だと思う。

こういうの徒労っていうんだろうな…

< 207 / 481 >

この作品をシェア

pagetop